本ページでは、これまでのクレワン・グランプリ歴代受賞企業様について、
受賞商品やクレワン・グランプリについてお話いただいたインタビュー内容を掲載しております。

2018年受賞

有限会社 瀬戸鉄工 様

十割ちっぷす

企業概要や事業について

弊社は、野呂山のふもとにあり、鉄工という名前の通り、溝蓋・グレーチング・水道管などの事業からスタートした会社です。その後、プラスチックの成型も手掛けるようになり、プラスチック製品では、珍味の入っているオレンジの蓋の容器を作っていました。
そこで珍味メーカーとのつながりができました。そのメーカーはイカの姿フライを作っていましたが、手作業だったため自動化する機械を作ってほしいというご依頼をいただき、自動化する機械を開発しました。

そのことが話題となり、他のメーカーからもご相談をいただきましたが、イカの姿フライはほぼ呉で作られているため。機械を売る方向でビジネスを行うと、呉のメーカーに売り切った後は、そこでビジネスが終わってしまうと考え、開発した機械を使って下請けとしてイカの姿フライを作ることにしました。

こうして、鉄工業界から食品業界へ転向することになりました。
その後、イカの姿フライの生産を自動化する機械を改良し、現在の商品づくりにつながっています。

平成元年頃、子どもたちに食べやすい形で健康に良いカルシウムを届けたいという思いから、にぼしをスナック感覚で食べられるようにできないかと考えていました。
そんな中、いりこを鉄板の上でぺちゃんこにすると良い煎餅ができたということをきっかけに、いりこ1匹をそのままつぶして作る「瀬戸の焼きいりこ」が誕生しました。
子どもだけでなく、妊婦さんや歯の弱い高齢の方からもご支持いただき、少しずつ広まっていきました。

「瀬戸の焼きいりこ」は1匹ずつ手焼きでしたが、弊社が得意としている機械による自動化を考案し、細かく砕いたいりこを丸く成型して焼くという大量生産ができるようになりました。

現在の食品加工の技術は、鉄工の時代に培ったプレス技術を使っており。そのため社名に「鉄工」を残しています。

クレワン・グランプリ受賞商品について

高温・高圧でプレスするという特殊な独自の製造方法で他にはない味わいを作り出しています。
また、「十割」という名前の通り、無添加で100%いりこのみの商品です。
つなぎなしで作ることができることも弊社の技術だと思います。

クレワン・グランプリを受賞後の変化

十割ちっぷすを作ったことがきっかけで、業務用のメーカーが主な取引相手になりました。
いりこチップスの技術を使って、だしパックの原料を作っています。
一度焼くことでより旨味のあるだしになります。
また、「あご醤油味」など、ポテトチップスのシーズニングにも使われています。

「十割ちっぷす」は、現在、原料不足などの事情により休売中です。

クレワン・グランプリにエントリーしようと思ったきっかけ

ちょうどパッケージを変えて間もない時期に、瀬戸鉄工を代表する商品なので広く知ってもらいたい、また、創業以来ずっと呉で事業を営んでいるので、地元に根付いた商品ということをアピールしたい、といった思いからエントリーすることにしました。

実際にクレワン・グランプリはどうでしたか?

クレワン・グランプリがきっかけで、商品のヒットにつながったと思います。
会社の知名度もあがり、業務用の商品ビジネスにもつながって、業績が大きく上がりました。

今後の会社の展望など

今の機械や技術を使って、穀物を使った商品を開発中です。
次回のクレワン・グランプリにも挑戦し、呉発祥のこの技術を使って新たな商品を開発することで、クレワン・グランプリに恩返しができればと思っています。

2019年受賞

株式会社クレセント 様

大人のレモンケーキ

企業概要や事業について

1995年に「アラビアンナイト」というお店を立ち上げ、創業しました。
アレルギーがあるため、体に優しく、地元食材を使ったパンとお菓子を作り始めました。とにかく、地元で添加物を使わないものを作りたいと思っていました。

そんな中、とびしま街道の橋ができたことで、柑橘農家とのつながりができ、「レモンを捨てるんだけど使ってくれないか」というご相談を受けるようになりました。
こうして、柑橘農家の方々とのつながりが広がり、レモン商品が増えていきました。

柑橘農家の中で、みかん農家がレモンも一緒に植えていることが多く、みかんは加工に向いていませんが、レモンは加工向きな果物で販路が異なるため、みかん農家はレモンの扱いに困っていました。
そこで、レモンの加工業者を集めて柑橘農家とのつながりをつくり、商品開発を行うようになりました。

みかん農家は、高齢化や収穫時期の多忙さ、イノシシなどの害獣被害も多いなど、様々な課題を抱えていましたが、みかんとは異なり、レモンは、「イノシシや鳥が食べない」「大量に作らなくても加工品にできる」「収穫時期も長くロスが少ないため収入も安定している」といった良い部分が多いことを伝え、レモンをどんどん作りましょうという方向になっていきました。

クレワン・グランプリ受賞商品について

概要・想い

15年前はレモンを使った商品が多くありませんでした。大手メーカーからレモンケーキが販売されていましたが、レモンの形をしているだけで、レモンの味はしませんでした。
そこで、まず、レモンケーキにレモンジャムを入れた「とびしまレモンケーキ」を作りはじめ、そこからいろいろな改良を重ね、現在の大人のレモンケーキにたどり着きました。 「大人のレモンケーキ」は、自社で作っているレモンリキュールのお酒入りで、糖分を落とし、首都圏で販売できるように賞味期限を長くするため、お酒を使いました。レモンブームが起きた影響もあり、全国で人気の商品になりました。

開発秘話

柑橘に関わる事業者や農家の方々と「とびしま柑橘倶楽部」を立ち上げ、レモン商品を広めるため、全国でイベントなどを行っていましたが、その際、賞味期限が長い商品がほしいという声があり、「大人のレモンケーキ」が生まれました。

「とびしま柑橘倶楽部」の立ち上げ当初は、毎週のように、事業者や農家、商工会の方々と会議を行い、みんなとても高い熱量でした。その結果、加工品が増え、レモンのニーズも増え、10年ほど前から農家のレモンが足りなくなるほどになりました。

これで1つの役割を終えたかと思っていましたが、今度は、「農家が足りない」「耕作放棄地」などの問題が発生するようになりました。現在は、未来へ向けて農業のあり方を考えたり、機械化などで栽培方法を変える、などといった活動をしています。

実際にクレワン・グランプリはどうでしたか?

東京にある広島のアンテナショップ「TAU」に商品を置いて首都圏のテストマーケティングを行うことができるので、そこでの反応は次へのステップにつながります。
商品を開発すること自体はとても簡単ですが、その商品が売れるかどうかは別問題です。売れる理由を知るためには、人目に触れさせ、人の意見を聞くしかありません。これまで作ってはやめてを繰り返した商品は1,000種類を超えます。
売れ続けて特産品として根付くためには、タイミングなどもありますが、自社だけでなく色々な方々が取り組んで、次につなげる何らかのメリットがその地域に残らなければなりません。クレワン・グランプリのテストマーケティングは、そういったことを考えるきっかけとなります。

クレワン・グランプリを受賞して変わったこと

コロナ禍でも売り上げが大きく下がりませんでした。一時的に下がったりしても、コロナ禍が明けて、またすぐに回復しています。クレワン・グランプリのおかげで名前を覚えてもらっていたからかもしれません。 現状、海外の方が買われているかどうかは分からないので、インバウンド向けのレモンケーキも開発中です。フィルムパッケージにして、お子様でも食べられる味にしようとも考えています。

今後の会社の展望など

レモンにまつわる課題を1つずつ解決していきたいと思っています。
まず、次に考えている事業は、イノシシ対策につながるジビエ関係の事業です。また、全国の人と苗木をサブスクリプションで一緒に育てましょうという取り組みもしています。自分の木をお世話するために、県外かくる人が増えると、宿泊が増えるなど様々な事業と連携が生まれます。
レモンが繋げる輪は広いと思います。一次産業があってこその二次産業・三次産業...六次産業と繋がっていく、そこをうまく繋げる事業をしていきたいと思っています。

100年後200年後と次の世代にしっかりと繋がるように…。

2020年受賞

リベルテ本帆 株式会社 様

三大呉イカ天

クレワン・グランプリ受賞商品について

元々、有限会社セニアという母体となる会社があり。その会社のoemの仕事が主体となっていたため、自社商品を持っていないという状況の中で、自社商品を作りたいという思いから、最初に「レモニカ」という商品を作りました。
イカの姿フライの揚げる前の下地を作っている粉末原料を煎餅状にする工場で、イカの形をしている姿フライを、「結局、割って食べるのであれば最初から食べやすい形で商品にしてはどうか」と考えから、四角い形状にした商品が「レモニカ」という商品でした。
パッケージにもこだわり、オシャレ路線で販売してみましたが、普通のイカ天の価格帯(5枚で100円程度)に比べて高い(6枚分で300円)、また、どこの商品かも何かも分かりにくいなどといったご意見をいただき、地元のスーパーなどからは評判があまり良くありませんでした。 その後、原点に戻り、「うちってやっぱり姿フライなんだな~」と考えた時に、姿フライは全国で売られていても、それが広島の呉で作られているということはあまり知られていないのではないかと思いました(実は、姿フライに限っては100%呉で作られています)。
ということで、「呉で作っているイカ天はこれ!」ということがわかりやすい「呉イカ天」というネーミングで、取引のあるおいしいイカ天の2種類「さきイカタイプのピリ辛味」「しっとりタイプの醤油味」をセットにした商品を作りました。

2019年頃からお土産品として発売しましたが、販売開始1年ほどでコロナ禍となり、売り上げは伸びませんでした。

しかし、「瀬戸内おみやげコンクール2020(菓子・スイーツ)優秀賞」を受賞し、G7の際は、プリンスホテルの部屋のおつまみにも選ばれ、少しずつ売上も伸びるようになりました。

クレワン・グランプリにエントリーしようと思ったきっかけ

呉広域商工会様からご紹介いただき、エントリーをすることにしました。

クレワン・グランプリを受賞後の変化

オッコニカ」という商品の種類が増えました。 呉の伝統野菜のキャベツ(広甘藍)を練りこんだ、まるごとお好み焼きなイカフライで、キャベツの甘味とお好みソースの味がマッチしたイカ天です。

おっこん(お好み焼き)とイカで「オッコニカ」とネーミングしました。

広甘藍は無農薬で作るため、3割ぐらいは商品として販売できず廃棄されるというニュースを見て、もったいないと思い、ニュースに出ていた知人の農家に連絡し、キャベツを使えることになりました。

その後、大手が作らない米粉のイカ天に挑戦するなど、幅を広げています。

実際にクレワン・グランプリはどうでしたか?

東京にある広島のアンテナショップ「TAU」で扱ってもらえるようになることがが魅力的です。
実際にTAUに置かれている商品は、「イカ姿フライ」の呉イカ天と、「オッコニカ」ミニのみとなっており、3つセットではありませんが、1つの商品だけでも定番商品になっていることは、クレワン・グランプリのおかげだと感謝しています。

イカ天という商品への想い

これが「呉のイカ天」だということをもっと知ってもらいたいと思っています。

<昔ながらの味を変えず、子どもから大人まで愛される味“極旨”>

呉のイカ天の母体は、広の「大塩するめ」というメーカーです。
そこから派生して色々なメーカーが生まれました。
サキイカなどの端材を活用するため、すりつぶして小麦粉と混ぜて煎餅状にし、姿フライが生まれたのではないかと言われています。

パッケージについて

「レモニカ」から路線を変えて、昔ながらの雰囲気と、呉のレンガ倉庫のイメージにしました。

今後の会社の展望など

呉イカ天がメジャーになってきたので、新しいバージョンを考えており、近々発表予定です。
米粉バージョンでも色々な味に挑戦していきたいと思っています。

2022年受賞

株式会社クレセント 様

クラフトレモンコーラシロップ

クレワン・グランプリ受賞商品について

概要・想い

元々コーラが好きなのですが、子供の頃から「体に良くない」と言われていました。
しかし、コーラのルーツを辿ると、健康のために医薬品として開発されたということを知り、それならば本来の役割が果たせるようなものを作りたいと思うようになり、これまでの商品開発経験から、レモンと合わせて作りたいと考え、開発を始めました。

コーラといえば炭酸のイメージですが、炭酸ではなくホットで飲んでも美味しいし、ミルクで割ってチャイにしても美味しい、スペアリブなどに入れて煮込むと香辛料が効いて高級な味にもなる、できる限りたくさんの原材料を使って複雑な味わいの他にはないものにこだわりました。

開発秘話

最初は原材料が5種類くらいからスタートしました。
それでもコーラの味は出せましたが、レモンやみかんの果汁・皮などをいろいろ加えながら、柑橘らしさをどう出していくか、大人向けのピリッとした感じをどう出していくか、などといったことを考えて開発していくうちに、どんどん原材料が増えていきました。
原材料の役割や効能なども調べながら加えていき、最終的に20種類まで増えました。私は気管支が弱いのですが、ちょっと調子が悪いときにも飲んでいます。

クレワン・グランプリにエントリーしようと思ったきっかけ

お菓子を食の一部としてとらえ、贈り物に「お菓子だけでなくドリンクが一緒に入っていたら嬉しいよね」という思いから、レモンシロップを作っていました。
新商品として、コーラとピンクレモネード(赤しそ入り)のシロップを作ったタイミングでコーラのシロップをエントリーしました。

クレワン・グランプリ受賞後は?

クラフトコーラブームもあって、好評です。 東京の「DEAN&DELUCA」からもお問い合わせがありました。イベントなどに出しても良い評判です。

パッケージデザインへのこだわり

手作りっぽい雰囲気でレトロな感じにしました。手触り感などもこれから改良を加えていきたいと思っています。味の前にまず見た目が大事、音楽のチューニングと同じで、見た目と味にズレがあると違和感が出ると思っています。商品を手に取る人が迷ったとき、手に取るかどうかの差にもつながると思うので、自分が納得のいくものを作りたいと考えています。自分と波長の合う人に買ってもらいたい、そのためにチューニングを合わせることが大切になると思います。